不動産の「プロ」って何?営業マンが日頃意識するべきこととは

どのような業界であれ、お客様は我々のような営業マンをその業界のプロとして見ますが、そもそも「プロ」とは何でしょうか。今回は、不動産のプロとは何か、そしてプロの営業マンとして意識することについてお話していきます。

プロは2つの性質を持つ

私の持論ではありますが、プロの不動産営業マンは2つの性質を持っていると考えています。それが、「専門性」「再現性」です。

まず「専門性」とは、不動産に関する知識と経済的視点、そしてお客様目線を持つことです。不動産の専門用語やマーケットといった知識、物件の将来性(築年数や設備、利回り、賃料上昇率など)といった経済的視点は、不動産業界にいるからこそ説明ができることです。それに加え、物件を購入した後の使い方や物件の見栄えなど「お客様は何を見るのか」という視点を持ち合わせてこそ、プロの営業マンといえます。

そして「再現性」とは、どんなお客様に対しても同じ目的(成果)に繋がる接客を実現させることです。正直なところ「ヒアリングに必要なポイント」は基本的に同じですが、毎回成約に繋げることは当然難しいです。その中で、次のステップに進むような接客をしたり、再度来店していただけるような信頼関係を築くことができる営業マンはプロと呼べるでしょう。

しかしこの2つの性質は、一朝一夕では身につきません。そこで私が必要だと考えているのが、日頃の「練習」です。

接客の「練習」に励む営業マンがどの程度いるのか

残念なことに多くの営業マンが『成果は出したいが、練習はしたくない』と考えています。人によっては「経験が何よりも大事」という考え方もあるので、実践を積んでいくうちに接客に慣れ、いずれは成果に繋がるようになるかもしれません。

しかしお客様からすると、新人だろうとベテランだろうと、担当についた営業マンをその道のプロとして見るでしょう。そのため入社半年の営業マンだとしても、堂々とプロと名乗れるように日頃から練習が必要なのです。

実際私は、チームメンバーとともに週に8時間は接客練習の時間を設けています。様々なプロフィールや生活環境を背景に持つお客様を想定し、「何がそのお客様にささるか」を練習します。こうした営業練習の時に重視しているのが、「問題提起」と「問題解決」です。お客様がどんな問題を抱えているのを聞き出し、それに対してどんな解決策があるのかを提案する、この2つのフェーズができてこそ、成果に繋がります。

お客様が求めているのは「不動産会社(プロ)としての提案」ですから、常に日頃から意識しておくことが重要と考えています。

プロは自分の営業スタイルを持つ

成約率の高い営業マンでも、「なぜ決まったのか」という理由をじっくり分析する人は少ないはずです。「たまたまお客様との相性がよかったから」では、今後も同じようなお客様にしか響かないとも言えます。もちろん、お客様との相性年齢や性格、共通の話題などは選びようがありませんが、「成果が出るかでないかはお客様次第」という考え方では、プロとは呼べないでしょう。

私は、自分の「営業スタイル」を持っている人こそプロと考えています。そのために、営業の練習だけでなく「なぜ決まったのか」「なぜ具体的な話まで進まなかったのか」といったフィードバックも欠かせません。たとえば、「奥様の生活をメインに話したから心を開いてくれたのか」「意外とヒアリングできていない部分があったかもしれない」「実はもっと深堀してほしかった部分があったのでは…?」など、分析できることはたくさんあります。

営業マンにとって「成果(成約)」は当然大事なことですが、どのようなお客様にどういう売り方・提案をしたのかという「自分だけの営業技術」を身に付けている営業マンを目指すことが重要です。

日頃から練習をし、実際の接客で経験を詰み、それを振り返り、身に付くように実践する…。プロ意識を持って行うこの一連の流れを蓄積させることで、お客様の信頼を得られる営業マンに近づけると考えています。

不動産業界に転身

高田一洋

福井県あわら市出身。金沢大学工学部(機能機械工学科)を卒業後、大手コンサルティング会社を経て、志を実現するために当時取引先のリストグループへ入社。大手不動産会社10数社の内定を断り、リストグループの魅力に惹かれて入社を決意。